
今回は建築探訪12。
東京都新宿区の西早稲田の住宅街にひっそりと佇む都市型住宅があります。1971年に竣工した住宅ですが、1979年には優れた建築作品に贈られる日本建築学会賞作品賞を受賞。歴代受賞作品には大きな建築が多い中、住宅としては数少ない受賞を果たしています。
建物名 松川ボックス
住所 東京都新宿区西早稲田2-14-15 松川ボックス A棟
設計者 宮脇檀
これまで住宅建築という特性上、一般公開がされてこなかった松川ボックス。なんと展示会ギャラリーとして開放しているということで、予約の上お邪魔することができました。1時間毎に入場制限をしていたため、少人数の中落ち着いて見学することができました。
外観は、茅葺き屋根を思わせる形の鉄筋コンクリート造。建物が道路から引っ込んだ位置に建っているので、注意していないと通り過ぎてしまいそうです。それほど周辺の環境に馴染んでいるということでしょうか。

玄関を開けると外観からの印象とは異なり、親しみのある木の住まいが広がります。柱や梁、壁などの部分が木造でできています。「松川ボックス」というようにボックス=箱という概念を持つ建築です。箱の中に木組みの家がある住まいという感じです。



リビング上部が吹き抜けになっていて、屋根の急勾配に沿った天井が見事です。漆喰壁が天井まで伸び、トップライトから降り注ぐやわらかな光が広がります。
開放的な「外に開く」を旨とする戦後の住宅に対し、閉鎖的な「内に開く」形式をとった住まいでしたが、屋根を窓ギリギリまで下げて内に開きながらも、中庭を設けることで内と外の連続性を持っていることが特徴的です。(見学時には赤いフェンスで仕切られていました。)




リビング奥の和室の襖・壁に使われていた染物のような濃紺色が記憶に残ります。
話変わって、エッセイストとしても活躍された宮脇氏。読んだものといえば「旅は俗悪がいい」と「日曜日の住居学」という本。これがまた面白いですよ。
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