すまい手帖「昼光利用・自然風」

皆さんは「パッシブデザイン」という言葉をご存じでしょうか?

「パッシブデザイン=受動的(passive)」とは、自然エネルギーとうまく活用し、建築的工夫により快適な室内環境をつくる
設計手法を指します。

具体的には、

例1.自然光をうまく採り入れることで、室内を明るく快適な空間にする
例2.風通しの良い家とすることで、温度調節・心地よい室内とする
例3.軒や庇、庭木で夏の厳しい日差しをカットする
例4.土間に冬の日差しを当て熱を蓄え、室内を温かくする など…

参考:一般社団法人 環境共生まちづくり協会ホームページ

要するに、機械に頼らない設計手法ということです。

太陽光発電パネルは、太陽光を利用するためよく混同されますが、
「アクティブデザイン=能動的(active)」といい、先進技術を用いてエネルギー利用の最適化を目指す設計手法になります。
一方で給湯などに使われる太陽熱パネルは「パッシブデザイン」にあたります。

今回は、パッシブデザインの中の「昼光利用・自然風」を取り上げます。

〔昼光利用〕
先述の「例1.自然光をうまく採り入れることで、室内を明るく快適な空間にする」という意味ですが、
どのようなメリットがあるのかというと、

・照明の消費エネルギーの削減:照明の使用時間減ることで、電気代を抑えることができる
・快適性の向上:自然光のやわらかな明るさの採り入れ、温熱環境(心地よい空間)にもよい影響を与える

〔自然風〕
夏の夜間、春や秋の中間期では、できるだけエアコンの力を借りずに過ごしたいもの。
卓越風(その地域・期間・時間帯に特有の風向)をうまく活用することがコツですが、

・二面以上の窓配置
 入口と出口が必要なので1部屋に2面以上の窓があると良い。
 1面のみの場合は、ドアや欄間(らんま)を介して、隣の部屋へのルートを確保する。

・南北に抜ける通風
 障害物の少ない風の通り抜ける経路を確保すると良い。
 住宅密集地では、自由な配置が難しくなるため、開けた方向を風の入口にして高窓を出口にする。

・ウインドキャッチャーの設置
 たてすべり窓などのガラス面に直接自然風を当て、室内に招き入れる方法。
 防犯性・気密性も優れる開口部。

ちなみに埼玉県ホームページによると、
埼玉県の一般的な風は「北西風」と「南東から東よりの風」。
9月から年をまたいで5月までは北西よりが卓越し、6月~8月は東よりの風が卓越します。
冬は冬型の気圧配置が多いため北西風が卓越しますが、6月から8月にかけて東よりの風が卓越する理由は、
日変化による東風が多いことが考えられます。

参考:埼玉県ホームページ

〈参考〉
・建築知識 世界で一番やさしいリフォーム エクスナレッジムック
・埼玉県ホームページ
・一般社団法人 環境共生まちづくり協会ホームページ

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